2022.09.09
こんな本を読み終えましたので、その感想など。
環境再生型農業(リジェネラティブ農業)の本です。実際に筆者が試行錯誤しながら実践してきたことを、一冊にまとめた本。日本人の方でも同じような本を出版している方がいらっしゃると思うのですけど、この本はアメリカ人の著作。そして、日本人の著作と違うのは、話が人生哲学や宗教のような方向に行かないこと(笑)。あくまでも農業経営という観点からブレることなく、環境再生型農業について惜しみなく語ってくれています。
筆者の述べるポイントは、この6つの原則にまとめられています。
- 土をかき乱さない
- 土を覆う
- 多様性を高める
- 土の中に「生きた根」を保つ
- 動物を組み込む
- 背景に従う
基本的には、いわゆる「自然農」に非常に似ています。耕さない、化学物質(農薬や化学肥料)を使わない、土を露出させない、生物多様性を大事にする、などなど。
一方で、あまり日本の「自然農」では取り上げられないのは、家畜の利用。何しろアメリカの話ですので、規模が違いすぎます。牛、豚、羊、ニワトリなどをそれぞれ数十頭レベルで飼育して、食肉販売までやってるのですから、さすがアメリカ!…って感じ。この本から私も真似できることを取り入れようと思っているのですが、さすがにここまでは…無理ですねぇ…(苦笑)。
でも、本当に環境に根差した農業を目指すなら、動物は無視できないのでしょうね。
そして、何よりこの本に私が好感を持ったのは、話が哲学や宗教のような方向へは一切進まず、あくまでも農業経営の話に徹していること。日本で「自然農」というと、一般社会と隔絶して、ちょっと世捨て人的な感じになっちゃっている方もいるように思うのですけど、そういうのは私の望む未来ではありませんので…。
規模も志もアメリカンなこの本。大変面白い本でありました。