#自然農 #リジェネラティブ農業 #環境再生型農業 な #家庭菜園 に挑戦中!

リジェネラティブ農業(環境再生型農業)・自然農の考え方で家庭菜園

#慣行農法 も #自然農 も #リジェネラティブ農業 ( #環境再生型農業 )も、みんな自然科学だけど方向は違うようです。

 

2023.05.19

 1:一般的な慣行農法では、農地を耕し、化学肥料や農薬を適切に使用します。

 一方で、

 2:自然農、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)では、一般的には農地を耕さず、化学肥料や農薬を使用しないか、ごく最小限にとどめます。

 さて、サイエンス、自然科学に基づくのはどっち?? 答えは「両方」! 1も2も、一見すると方法は全く違うように見えますけど、どっちも自然科学の研究の成果だったりするわけです。

 

 

 な~んてことを、私のような自然農っぽい家庭菜園を始めてまだ3年目の者が言っても説得力ないんでしょうけど、でも、色々な本を読んでみると、まさにその通りだと思うわけです。

 かく申します私、一応、理科系の高校を卒業し、某旧帝大の理学部にて生物学を専攻していた人だったりするのです。とあるタンパク質分解酵素の遺伝子構造解析などやっておりました。な~んていうと、多少は説得力高まります?? いえ、全然高まりませんね(苦笑)。

 

1:慣行農法とは

 慣行農法の歴史が大きく進んだのは、19世紀ころからだそうです。

 「畑を耕す」という行為は、地域によっては紀元前から行われているわけですが、当時の人々は、「耕す」という行為が長期的に見て土地を痩せさせるとを知りませんでした。耕すことで雑草管理の手間が省け、一時的には農業生産量が高まるので、多くの地域で畑を耕すということが行われてきたそうです。しかし、長期にわたって耕起が行われることで、何億年もかけて土地に蓄えられてきた炭素は二酸化炭素となってどんどん大気中に放出され、農地はどんどん痩せていきました。そのために人類は堆肥を作ったり動物の糞を集めてきたりして、それを農地に入れ、耕起によって痩せていく土地でも農業ができるようにしたわけですね。

 そして、19世紀末から20世紀初頭、ここに革命がおこります。化学肥料の発明です。化学肥料は化学の成果です。人工合成された化学肥料により、簡単に土地に養分を入れて作物を育てることができるようになりました。同時期に農薬の開発も進み、その結果として、化学肥料や農薬を使う農業が一般的になったのが現代というわけです。

 そのような慣行農法には良いことがいっぱいでした。まず、農業生産量が大幅にアップしました。また、マニュアル通りにやれは誰でも(以前に比べると)簡単に農業ができるようになりました。日照量、降雨量、気温など、いまだに人類のコントロールに服していない要素はあるものの、可能な限りのパラメーターを人為的に操作することができるようになったわけです。

 しかし、その一方でこのような慣行農法が環境破壊の一因となっていることに人類が気付くには、100年ほどの時間が必要でした。

 

2:自然農、リジェネラティブ農業(環境再生型農業):

 20世紀後半に入って、自然科学の考え方が大きく変わったことをご存知でしょうか。それまでの自然科学は、自然を征服するためのサイエンスでした。いかに自然を改変して人類に都合の良いものとして利用するかが、以前の自然科学の大きな目的でした。その結果、サイエンスは自然をどんどん破壊していくこととなったわけです。そして、自然が失われていくことを目の当たりにしたとき、一部の人々は初めて、自然とは何なのか、環境とは何なのか、生態とは何なのかについて、考えるようになってきました。こうして生まれたのが、生態学環境学といった分野です。つまり、自然を征服して利用するための自然科学から、自然を理解して共生するための自然科学に変わっていったのです。

 そのような潮流の中で生まれてきたのが、自然農であり、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)というわけです。

 

 慣行農法は、まず畑を耕して地上や地中の生態系を破壊し、多くの生物を農地から排除し、そこに作物が育つに必要な養分だけを入れ、人間が欲している作物だけを植える…、そんな工業化された農業になってしまっていました。確かに効率は良いのですが、環境を破壊してしまうものでした。食料を簡単に大量に生産するという目的には適った方法でしたが、生命の本質に適った方法だったかと言われると疑問でした。人類が誕生するずっと以前から、生命は環境の中で様々な生き物たちとの関わりの中で生きてきたからです。

 

 自然農、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)は、そのような慣行農法に対する反省に立って、環境と農業との両立を目指したのでした。自然な生態系と生物多様性の中に、可能な限り農業を回帰させ、環境負荷の小さい農業を目指したわけです。

 その方法は実に様々です。慣行農法のように単純化されたマニュアルは存在しません。なぜなら、農地の環境はそれぞれ異なるからです。同じ1つの畑でも、数メートルも離れれば、環境も住んでいる生き物も違ってきます。私たちはマニュアルを捨てて、まず農地の現場の生態系を観察して理解することから始めなければなりません。そして、そこに最小限の人の手を加えて、その自然生態系の中に作物を共存させていただくわけです。

 

 したがって、自然農、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)の具体的な方法は様々であり、それぞれが観察と試行錯誤をしながら発見していくことになりますが、ここには、その比較的一般的な方法であり、慣行農法の常識に反するものを、一部だけですが挙げてみます。

 

  • 不耕起。耕さない。
    耕さないことで地上や土中の生態系を守り、多くの生き物が暮らす調和した環境を守ります。もちろんジャガイモは掘って収穫しますし、苗を植え付ける時や種を蒔くときには、必要な範囲で最小限だけ耕したりもしますが、畑の全面を耕すようなことはしません。

  • 収穫物を除き、畑からは何も持ち出さない。
    刈り取った雑草なども含めて、収穫物を除いて、畑からは何も持ち出しません。刈り取った雑草は「雑草マルチ」として畑に敷きます。雑草マルチは地表面を乾燥や風化から守り、やがて分解されて土に還って土を豊かにします。

  • 雑草を抜かない。
    作物と競合してしまう範囲だけは、雑草を刈り取りますが、原則として根こそぎ抜き取ることはしません。植物の根は土を耕し、土を豊かにし、やわらかくふかふかにしてくれます。また、有機物を地中深くに届けてくれます。土には常に生きた根があることが理想です。

  • 地表面を裸にしない。
    何も覆う物のない地表は、日光などの作用によりどんどん乾燥して風化して傷んでいきます。それはまるで砂漠のようなものです。豊かな大地の地表面は、必ず何かの植物に覆われているものです。

  • 化学肥料を使わない。
    化学肥料は作物の根に直接に養分を与えてしまいます。これは不自然なことなのです。本来の自然環境においては、植物の根は土中の菌類と共生して養分を受け取っています。化学肥料を使うことで、そのような植物と菌類の関係を壊してしまいます。また、多すぎる養分を与えられて育った作物は、一見すると大きくて立派ですが、ぶくぶく太って、病害虫に弱く、栄養価の低いものになってしまいます。

  • 農薬を使わない。
    農薬は、作物にとって害となる虫や菌類等だけでなく、多くの生物の命を危うくし、生物の多様な生態系を破壊してしまいます。

 

 どうでしょうか。では、もっと過激なものも挙げてみましょう。

 

  • 害虫を駆除しない。
    自然農、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)においても、害虫は困ったものであることに違いはありません。これらの農業では農薬は使わないものの、手で取り除いたりといった駆除は行うのが一般的です。しかし、一部の方は害虫を駆除しないそうです。それによって一時的には作物に被害が出ますが、その害虫を捕食する天敵となる生き物も増え、長期的には結果として自然のバランスがとれてきて、害虫の被害も目立たなくなっていくそうです。

  • 畑の地中の小石を取り除かない。あえて畑に小石を混ぜる。
    機械化された農業にとって、地中の小石は耕起の邪魔ですので、取り除くのが一般的です。自然農やリジェネラティブ農業(環境再生型農業)では耕起しませんので、地中に小石が混じっていても構いませんが、見つけたら取り除く人が多いのかもしれません。しかし、小石は植物の根によって徐々に徐々に溶かされて、大切なミネラル分を農地に供給してくれることになるそうです。

 慣行農法の常識には反していますが、決して非科学的なものではないということ、ご理解いただけましたでしょうか。ここに挙げたもの以外にも、皆さんそれぞれの畑の環境に合わせて、色々な方法を試していらっしゃいます。

 

 このような方法は、規格に合った作物を大規模に大量に生産することを目的とした農業には、適していないのかもしれません。しかし、小さな家庭菜園だったらどうでしょう。小さな家庭菜園にとって、大規模大量生産のための慣行農法の縮小コピーでなければならない理由はあるのでしょうか。私は疑問に思います。

 更に申しますと、リジェネラティブ農業(環境再生型農業)によって大規模大量生産を実現した事例も、実はあるのです。

 

 

結語:

 昔々、まだ宗教が今よりもっと大きな力を持っていた時代、生物は無生物と違って「生命力」という不思議な力をもつ特別な存在であると理解されていました。

 そのような生命観を19世紀の自然科学は覆しました。生物も無生物と全く同じ科学法則に則った存在であり、生物の中で起きていることは試験管の中で再現できることを突き止めました。そして、試験管の中の化学反応を自由に操作するように、自然科学で自然を人間に都合よく操作する方法を人類は探求してきました。そのような進歩の歴史の上に、慣行農法は存在しています。それが大きな恩恵を人類にもたらしたのも、確かな事実です。

 しかし、そのような慣行農法が自然環境を破壊していることに、既に一部の人類は気付いてしまいました。そして人類は自然環境を理解するように努めるようになりました。ミミズは単なる下等で無益な役立たずのくだらない虫ではないことを知りました(昔の人はそう思っていたそうです)。では、どうしたら環境と農業を両立していくことができるのか、現代の自然科学の関心は、自然の支配から自然との共生へと移り変わってきました。そのような取り組みの一つが、自然農でありリジェネラティブ農業(環境再生型農業)なのです。

 自然農もリジェネラティブ農業(環境再生型農業)も、決して非科学的な胡散臭い信仰などではないのです。